“軌跡”

のんびりまったり推し活。加藤和樹さんが好き。

再演マタ・ハリ 柚希、加藤、三浦個別感想

ミュージカル マタ・ハリの感想です。あと三公演というところで中止になってしまったマタ・ハリ。完走させてあげたかったと悔しさは募りますが、本当に素晴らしい作品、役者に出会うことができて私は幸せでした。
今回は、特に好きになった柚希礼音さんと三浦涼介さんのマタとアルマン、そして和樹さんの大佐の感想を載せています。
また再再演で出会えるから、まださよならは言わないよ!私の本当の大千穐楽はそこまで取っておきます!
 


 
 
ちえマタの話。
ハマり役と言われるものがある。ちえさんのマタは、まさしくそのハマり役だと思っていた。
登場シーンだけで、目を奪われる神々しさ。神聖さを纏った踊り子。出てくるだけで涙腺が緩む。目がくらまされてしまうほどの眩い光。マタハリとしての説得力。大佐目線で言うところの崇拝の象徴。
だから大佐がマタハリを初めて見て、目を奪われ虜になってしまったのもわかるし、その圧倒的な光に導かれるように道を外れてしまったのもわかる。大佐にとっての希望の光。唯一の縋るもの。
そんなマタを「崇拝」でなく「ひとりの女性」として見ていたアルマンが愛されるのは必然だったなと思う。
年齢を重ねて「真実の愛」は見つからないと思っていたのに、彼となら、と。彼との愛は本物だと。そう信じてしまうのもわかるくらい、人懐っこい笑顔で近づく無自覚人誑しのりょんアルマンが大好きだった。過去を語るマタを思わず抱きしめてしまうところも、任務との狭間で揺れるところも大好きだった。
だからこそ、もう「真実の愛」はないのだと思った瞬間の絶望の深さは本当にしんどかったし、自棄になるのだってよくわかった。ここでアンナとの信頼関係で自分を取り戻すところも、「今夜の客席はどう?」といつものように振る舞うところも大好きだった。ちえマタにいつだって心を掴まれていた。
最後、真っ先にアルマンを探して、見つけた瞬間、本当に嬉しそうに笑うところで私はいつもボロボロに泣いた。幸せになれてよかったねと泣いた。天国でアルマンと幸せになってねと願った。
そんなちえマタの大千穐楽を、この目で見届けたかった。
それでも、ここまで生きてきた軌跡が消えるわけではないし、DVDにも残る。
願わくば、ちえマタが初演から築き上げてきたマタハリの軌跡が、DVDに特典として残りますように。
大好きですちえさん。素晴らしいハマり役をありがとう。これからもずっと貴方のマタハリが大好きです!
#マタハリここが好き

 


りょんアルマンの話。
あまりにも初演が特別すぎて、好きになれるのか心配していた再演。そんな心配なんて全て吹き飛ばしてくれたのが、りょんのアルマンだった。彼のアルマンは、任務と真実の愛の狭間で生きていた。
私が想像もしなかった新たなアルマン像。まさかこんな別方向からアルマンを作り上げることができるなんて、と本当に驚いた。
人懐っこい笑顔でマタに近付くりょんアルマン。天性の人誑しの才能。マタの見ていないところでの鋭い視線。任務で近付いていることがよくわかる。任務に忠実な中尉。
そんな彼が少しずつマタに惹かれていって、彼女を守りたいと思って、それからの二人の男。毅然とした態度で知らないと告げるところが好きだった。そんな中尉だからこそ、大佐が「今本当のことを言えば見逃してやってもいい」という口調だったのにも納得できる。仕事の出来る中尉だったことがわかる。
だから、大佐が最後に自らの手で中尉を撃ってしまったことに衝撃を受けるところも納得できたし、部下として信頼していたからこそ、最後の絶望が深くなるところもよかった。マタとアルマンを失い、ひとりで生きることになる大佐の絶望が、死ぬことによって救われる二人との対比になっていて好きだった。
パッシェンデール送りにされたあと、必ず生きてマタに会うという、りょんアルマンの力強さが好きだった。本当にマタに会えた時に、ぼろっぼろに泣いておでこをコツンと合わせるのが大好きだった。ショックを受けるマタに、「お願いだ聞いてくれ」と優しく諭すように言うところも好きだった。
普通の人生を求め、ただそれだけを純粋に願う姿に心を打たれた。幸せになって欲しいと思った。彼がいつも笑える世界であって欲しいと思った。
だから、カーテンコールでにこにこ笑っているりょんが好きだった。よかったね!と思えた。
以前からとてもいい演技をする俳優さんだと思っていたけど、こんな素敵なアルマンに出会うことができるなんて。再演マタハリがもっともっと好きになれたのは、りょんアルマンがいたからでした。
他の作品でも見てみたい俳優さんになりました。また推しと共演してくれたらいいな!
#マタハリここが好き

 


和樹ラドゥーの話。
和樹さんが再演で進化してくるのはわかりきっていたことだから何も心配していなかったけれど、予想通り前回の大佐を上回る役作りの深さだった。大佐は間違いなく舞台上で生きていた。任務の重責に押し潰されそうになりながら、フランスを勝利に導くために奔走するひとりの男だった。
最初の一万の命で、どれだけ兵士ひとりひとりを大切に思い、その命が散るたびに苦しい思いをしているのかと思った。毎日こんな思いをしていてはとても持たない。だからこそ何かに縋りたくて、救いが欲しくて、マタに光を見出したんだなと思った。
惹かれてはいけないとわかっているのに、いつの間にかそちらに引き寄せられている。何を求める俺は?と呆然とする表情が好きだった。追い詰められ、憔悴していく姿が苦しかった。早く解放されて欲しいと思った。
アルマンを信頼していたのに、女で国を裏切ったことに逆上してしまうところも好きだった。二人の男はいつも手に汗握りながら見ていた。初演はアルマン目線でよく見ていたけれど、ラドゥー目線になるとこんなに作品の見え方が変わるんだな、というところもひとつの発見になった。
そんなアルマンへの信頼関係が初演よりも見えたこと、兵士や国への思いが見えたこと、マタへの重すぎる愛が見えたことにより、結果としてラストシーンの絶望がより深まったのが、とてもしんどかった。なんて可哀想な人なんだろう、と初演よりも更に思った。大佐は死ぬまで救われないんだなと思った。
否、死んでも救われないかもしれない、とまで思った日もあった。殺すつもりのないアルマンを殺してしまったことも、マタを絶望させ結果死に追いやってしまうことも、それが国としては正解でも、個としてはこの傷を永遠に引きずって生きていくんだなと。大佐の幸せはどこにあるんだろうと思った。
本当に可哀想な人。でも、和樹さんがそう言っていて、実際そう見えているから、役作りとしてはめちゃくちゃ成功していて。本当に役の深さが素晴らしかった。毎公演そうだけど、今回も最高でした。
DVDで見直せるのが楽しみです。特典に初演映像も入りますように!笑
#マタハリここが好き