再演版フランケンシュタインの、私が観劇したあきかず回を全て比較してみました。
1/16,1/29,2/15,2/20,2/24の演技の違いまとめです。あくまで私の主観です。覚えている場面のみ。ここまで違うといっそ楽しい。
最後は気合いでやり切りました。達成感。少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
※追記
DVDが出たのでまとめに追加しました。DVD収録日が17日と23日で、どうやら23日をベースに制作されたようなので、その時系列順に並べました。観ながら書いているので、DVDだけかなりの長文になってしまいました。すみません。
1/16のあきかず…ヒトの領域を超えた、天才二人の物語
DVDのあきかず…少し特別だった孤独な少年が呪われる物語
1/29のあきかず…少し特別だった、孤独な少年二人の物語
2/15のあきかず…友の為に神となった男の物語
2/20のあきかず…孤高の天才と殉教者の物語
2/24のあきかず…少し特別だった孤独な少年が、ビクター・フランケンシュタインになるまでの物語
ただ一つの未来
16日…促すようにアンリの体に触れるビクター。先に階段を上がっていく
DVD…接触はなし。階段途中で見つめ合って、先に階段を上るアンリ。後ろからきてその背中に触れるビクター。握手する直前の、互いの瞳に宿る熱量が凄い
29日…接触はほぼなし。アンリがビクターを追い抜いて先に階段を上がる
15日…何度もアンリに触れる。促すようにして先に階段を上らせる
20日…接触はなし。最後に促すように背中に触れる。先に階段を上るアンリ
24日…接触はなし。言い聞かせるように歌う。最後に促すように背中に触れる。先に階段を上らせる。握手の時、再度握り直して握手
ウエリントン将軍
16日…「私の大切な、パートナーです」チラッとアイコンタクト
15日…「私の大切なパートナーです！」ウッキウキ
24日…「私の大切なパートナーです」アイコンタクト
「質問ですか？命令ですか？」
16日…指（もしくは顎。座席的によく見えず）でアンリを呼び寄せる。「頼んだぞ、友よ」
DVD…「アンリ」と呼んだあと僅かに顎を動かす仕草。「頼んだぞ、友よ」で指差し
15日…もっとこっち！と手で呼ぶビクター。仕方ないなぁ、というように近付くアンリ。胸に飛び込んで耳元で「頼んだぞ」。それから「質問ですか？」の流れになり、順番前後して「友よ」になる。笑顔で去るビクター
20日…特に何もせず。あっさりパターン
24日…手で呼び寄せて「頼んだぞ、友よ」。溢れる信頼感
酒場
16日…口を拭こうとするも、手をべしっとされるアンリ。でも再度見つめられて素直にハンカチを受け取るビクター
DVD…口を拭こうとするも、手首を掴まれるアンリ。数秒見つめ合ったあと、再度促されてハンカチを受け取る。目線はずっとアンリを見つめたまま。その後投げて返すビクター
29日…素直に口を拭かれる。ハンカチをぐっと掴んで受け取る
15日…口を拭こうとすると手首を掴まれるアンリ。数秒見つめ合った後、ハンカチを受け取るビクター
20日…じっと見つめ合い、ハンカチを受け取る。頭を怪我していたのでそれで傷口を押さえるビクター
24日…素直に口を拭かれる。手首を掴み、じっと見つめ合いハンカチを受け取る。その後投げて返すビクター
酒場
16日…「諦めるのか？世の中を変えたいんだろ？」軽く言う。「諦めじゃない！」と怒ったように答えるビクター
DVD…肩をぐっと掴んで「諦めるのか？」。ぐぐっと力を込めつつ「世の中を変えたいんだろ？」。マジトーン。「諦めじゃない…！でも、」と即座に返すビクター
29日…「諦めるのか？世の中を変えたいんだろ？」割とマジトーン。それを受けたビクターが「諦めじゃない。でも…」と少し泣きそうに話す
15日…「諦めるのか？世の中を変えたいんだろ？」29日よりは控えめだけどマジトーン。お前はそんなこと言ったりしないよな？ってアンリの気持ちが滲み出てる感じ。「諦めじゃない！」と怒ったように答えるビクター
20日…「諦めるのか？」と体に触れながら「世の中を変えたいんだろ？」マジトーン。「諦めじゃない！」と言いながら手を振り払うようにして怒ったように答えるビクター
24日…「諦めるのか？」と肩をぐっと掴み「世の中を変えたいんだろ？」と顔を覗き込む。マジトーン。「諦めじゃない！」と答えるビクター
首絞め
16日…あった。割とがっつり絞めにいく。後ろに一歩二歩とふらつくアンリ
DVD…あった。かなりがっつり絞める。「ビクター……っ、ビクター…」と、優しく言い聞かせるように、微笑みながら名前を呼ぶ
29日…あった。ちょっと弱々しいイメージ
15日…あった。ぐいぐい絞めてアンリもウッとなる
20日…なかった。何なら全ての接触を嫌がる勢いのビクター
24日…なかった
「僕には親がいない」
DVD…「君がいるから十分さ」でウィンクするアンリ。その後ぐいっと肩を組み「とーもーよっ！」でビクターを投げ飛ばす
29日…え、と反応してアンリの方にふらっと近付く
15日…近寄ってアンリの肩に触れるビクター。君がいれば十分さ、と笑うアンリ。「とーもーよっ！」で勢い良く投げ飛ばす
20日…特に反応した記憶がない。何なら背を向けていたイメージ
24日…「君がいるから十分さ」でウィンクするアンリ
葬儀屋の話を聞いて
DVD…アンリから手を出してかたい握手
20日…ビクターから手を出してかたい握手
24日…アンリから手を出してかたい握手
ビクターの自室
16日…「そんなわけないだろ」割と間をおかずに答える。首が欲しい：アンリに生きて欲しいが4:6くらい
DVD…緩く首を振ってから「そんなわけないだろ」動揺した声。あんなにも大切に思っているパートナーなのに、首が欲しいと思ってしまっている自分との葛藤。首が欲しい：アンリに生きて欲しいが6:4だけど、♪僕はなぜ で考え抜いて自分の意思でアンリを助けることを選ぶ
29日…「そんなわけないだろ」とすぐ答える。アンリの首なら成功するかも知れないという思い：これからもアンリと共に生きたいが1:9くらい
15日…すぐ答えたあとに、姉さんならわかってくれるよね？と問い掛けるように「姉さん…」と手を伸ばすも、理解して貰えない。絶対にアンリを助けたい：心の奥底にある首を使いたいという衝動が9.5:0.5くらい
20日…「来ないでくれ」というように手を出してエレンを制止させようとする。首を使いたいという衝動がかなり強くて、アンリを助けないといけないのに沸き出る衝動：アンリを助けたい思いが9:1くらい
24日…沸き上がってくる衝動に自己嫌悪している感じ。首が欲しいのと五分五分。「新世界作るために不可欠な犠牲」とわかっているのに「だが無理だ、何故だ」。最後はアンリを大切に思う気持ちが勝つ
君の夢の中で
16日…「夢諦めないと」で笑顔で差し出された手を取って「わかったよアンリ、君の首を使って必ず生き返らせる！」と宣言。歓喜の抱擁。喜びに溢れた君夢
DVD…顔を覆って泣くビクターに、笑って近付いて「泣いちゃダメだ約束しろ」。「夢諦めないと」で差し出される手。その前の段階でアンリの意思がかたいことに気付いているから、もう受け取るしか選択肢がないことに気付いているビクター。一度自分の手を見てから、自分の意思でアンリと握手する。受け取ってもらえた喜びで、そのまま全てを託そうとするアンリ。ビクターは首を振って抵抗するも、半ば無理矢理心臓を託される。震えた声でアンリの名前を呼ぶけれど、その声は人生最大の喜びに包まれているアンリには届かない
29日…どうしても手を取れない。震える指先。共に生きて欲しいという強い願い。熱い抱擁。最後は手を取り思いを受け取る
15日…「夢諦めないと」で泣きそうな顔で笑って手を取る。でも少しアンリに手を「取らされた」と感じた。熱い抱擁。最後に離れたくなさそうな反応をするけれど、その手を振り払って離れるアンリ
20日…「夢諦めないと」で頷いて手を取る。死んで欲しくないんだけど、冒頭の「決めたんだ」「運命だと思って」辺りで色々察するビクター。共に夢を見ると誓う。熱い抱擁。優しくビクターの頬に触れるアンリ
24日…「夢諦めないと」で引き寄せられるように手を取らされる。「一緒に夢見れるなら死んでも後悔しない」と言われ、嫌だと手を離そうとする。しかし左手でビクターの右手を掴み、そのまま胸の中に閉じ込めるアンリ。泣き出すビクター。「すべてを捨てても君の夢の中で生きられるなら」と歌いながら、離れる前におでこをコツンとして、顔に優しく触れて、それから手を振り払って処刑台へと向かう
「君は太陽さ」
16日…頷く
DVD…カメラワークで歌ってる最中が見えないけど、24日に近い
29日…違う、というように首を振る
20日…頷く。太陽だという自覚がはっきりあるビクター
24日…「自分が恥ずかしく思えたよ」まで歌い切ってから頷く。でも、今までよりも弱々しい
生命創造
16日…絶対に成功するという確信。今から二人で生命を創造するんだ。失敗するなんて一ミリも疑ってない
DVD…アンリの呪いを感じる。助けるという方向に舵を切ったのを無理矢理生命創造に変更させられたけど、そこにビクターの意思が混じっているから操られているような感じはしない。脳は生命創造にシフトしている。轟く雷鳴は神からの祝福。呪いをかけられるものならかけてみろという力強い叫び
29日…アンリの首が入った袋をぎゅうと抱き寄せる。雷鳴は神からの祝福。きっとうまくいく。そう信じて実験室へと向かう。今までの自信満々な生命創造と違って、どうかアンリを生き返らせて、という思いが強い
15日…アンリの首を胸元に寄せる。呪えるのならば呪ってみせろ！と神に喧嘩を売りに行く。絶対に俺が勝つという強い意志。アンリの魂は必ず戻ると信じている
20日…絶対成功させるという確信。アンリの首を抱いて実験室へ向かう。アンリに戻ってきて欲しいという思いが強い。生命創造中何度も名前を呼ぶ
24日…アンリに呪われたビクター。目が狂ってる。何度もアンリの名前を呼ぶ。「お前に“命令”する！」が滅茶苦茶力強い。歌い終わりに足がふらふら。歩くのも覚束ない
怪物誕生
DVD…ルンゲの銃口を別の方に向けて、「撃つな」というように手で制する
20日…銃口を向けるルンゲの前に立ちはだかる。体を張ってアンリを守る
24日…姿を見た瞬間に「アンリ」と呼ぶ。ルンゲの銃口を明後日の方へ向ける
アンリと呼びかける
DVD…「アンリ…わからないの？僕だ。ビクターだよ……アンリ…」と、最初は冷静に、でもどんどんと不安そうな声色になる。怪物は名前を呼ばれて一瞬ぴくりと反応する
29日…「アンリ」と、アンリだろ？そうだよな？と不安そうに呼びかける。怪物はぴくりと反応してアンリの表情を見せる
15日…「アンリ」の呼び掛けに反応しないので「アンリ！」と再度、怒気を含んだ声で呼ぶ。完全にアンリの表情で暫くビクターを見つめる怪物
20日…「アンリ！僕だよ、わからないの？」と怒りを含んだ声で叫ぶ。びくっと反応した怪物は、完全にアンリの表情で数秒ビクターを見つめる
24日…「アンリ、僕だよ。ビクターだよ。わからないの？」と、アンリであってくれと願うように、泣きそうな声で問い掛ける。完全にアンリの表情で反応した怪物は、一瞬普通に立ち上がろうとする。それを見て、やっぱりアンリだ！と喜んだ顔を見せるビクター
アンリではなく怪物と知る
16日…実験は失敗していた…とショックを受ける。友を二度もこの手で殺さなければならないと、辛そうな表情で鎖を手に取る
DVD…神にまた呪われたと気付く。舵を切ったことが間違いだったのだと知る。生み出してしまったアンリではない彼を葬り去ることが自分の最後の使命だ、という感じ
29日…神よ、どうして…と天を見上げる。絶望に打ちひしがれる。ショックを受けてふらふら
15日…神に呪われた。俺の負けなのか。友を二度もこの手で殺さねばならないと辛そうな表情で鎖を手に取る
20日…16日と同じような感じ。悲しみの中鎖を手に取る
24日…絶望した顔で天を見上げ、握りしめ一度は天に向けた手で台をダァン！と叩く。実験に失敗して生まれた怪物を殺す為に鎖を手にする。が、辛くて泣きそう
カトリーヌとのデュエット
16日…「北極」とか、歌の途中でもアンリの声が混ざる（少し記憶が曖昧ですすみません）
DVD…「北極」「歌を歌って生きる」がアンリ（でも千秋楽付近よりもアンリみは薄い）。「楽園を」が怪物、「目指」がアンリ。「して」が怪物（表情が見えないのでわかりにくい）
29日…「北極」「歌を歌って生きる」「楽園を」がアンリで、「目指して」が怪物。表情も無表情から笑顔に切り替わって、凄すぎてオペラ釘付けになった
15日…29日の反応以外にも、途切れ途切れにアンリの記憶が混ざっている声。「私は人間が嫌い」のところの表情がアンリだった
20日…15日の反応に、更に追加して「そこには 人がいない」の歌い出しがアンリ。「重い鎖」あたりもアンリみ。アンリと怪物の出し入れが絶妙
24日…「北極」「歌を歌って生きる」は明確にアンリ。でもそこ以外は細かくアンリと怪物の表情と声を行き来していて絶品。特に「重い鎖」の辺りが怪物とアンリのハイブリッド
お前は怪物、と言うところ
DVD…「お前は、怪物」と囁きながら伝えて肩に手を置く。その後髪を鷲掴み
29日…鼻フック。しかも長い←
15日…鼻フック。気に入ったな？←
20日…ジャックが近付いて怯える怪物に「お前は、怪物」っていった気がするんだけど、記憶が少し曖昧
24日…ジャックが近付いてきて怯えて逃げようとする怪物の、腕の鎖を踏みつけて逃げられないようにする。顔にかかる髪を優しく払いのけて、「大丈夫だよー怖くないよー」というように顔を近付けて「お前は、怪物」と囁く。刷り込みの恐ろしさ
二幕実験室
16日…彼はアンリではなく本当に怪物なのだと知り、絶望して殺してくれと縋る
DVD…心の奥底では、怪物の中にアンリがいることを期待していたよう。現れた怪物を見て、声に出さず「アンリ…」と呟く。しかし怪物の中にアンリはいないと気付き、絶望して殺してくれと懇願する
29日…まるで神に祈るように胸の前で手を組んで、怪物に近付いて殺してくれと懇願する。怪物を「アンリ」と呼ぼうとする。いつも以上に、怪物をアンリとして見ている
15日…この前から既に、彼はアンリではなく怪物なのだと思っている感じ。そしてエレンよりも、この部屋でアンリと共に実験していた日々の方に想いを馳せている感じがする
20日…エレンをもう生き返らせることができない。絶望して膝を折り、床に尻もちをつくビクター。この部屋でアンリと共にずっと実験を続けたかった想いが強い
24日…エレンを生き返らせようとする時の目が、アンリを生き返らせようとした時の狂った目と同じ。絶望して床に尻もちをつく。アンリと実験を続けたかった。だがそれは叶わない。殺してくれ、と縋るビクター
追ってきたジュリア
DVD…追ってきたジュリアを二度傭兵に預けようとする。縋るジュリアに一度キスをする
29日…行かないで！と縋るジュリアにちゅっとキスをする
15日…早く屋敷に戻るんだ、と言うように二度傭兵に預けようとする
20日…「どうしてここに？屋敷の方が安全だ、ほら」というように傭兵に預けようとする。縋るジュリアに二度のキス
24日…20日と同じ
後悔
16日…反省はしているが後悔なんてしていない
DVD…反省も後悔もしている。自分のせいで独りになったという自覚がある
29日…反省も後悔もしている
15日…後悔はしていたが、アンリがいると気付いた瞬間に「そんなものはなかった」
20日…反省も後悔もしている。「みんな死んだ。僕の所為だ」が泣きそう
24日…反省も後悔もしている。神に挑んだ哀れな人間。落とせ地獄へ！
傷
16日…「友達…」といって目を見開く。怪物成分が多い
DVD…「俺の友達…」アンリの記憶がぽつぽつあって、冷静に理解している感じ。殆どアンリはいない
29日…「ともだ、ち…」アンリの記憶が無意識に言葉となって飛び出す。歌っている途中から怪物の顔ではなくなり、笑顔になる。歌い終わりにすうっと表情がなくなり、首をゴキっとして回路を繋ぐような仕草をする
15日…「ともだち…」目を見開いたりせず、アンリの記憶がそこにあることも理解している、自覚があるような反応。歌っている時、目がうるうるしている。歌い終わりにすうっと表情がなくなる
20日…「友達…」そこまで目を見開かず冷静。少し泣きそうな目で歌う「傷」。歌い終わりに首をコキッとして、回路を繋ぐような仕草（29日よりかなり控えめ）
24日…「友達…」も、「そうかお前の友達なのか」って思ってるのかなってくらい冷静に見える。お互いの存在を理解していそうな怪物。アンリと怪物の共存
北極でビクターを呼ぶ声
16日…あれは怪物だった。アンリの記憶は戻ってるけど、ベースは怪物
DVD…あれは怪物だった。怪物の復讐は遂げられたと思った。倒れて死ぬ
29日…あれはアンリだった。アンリの記憶は完全に戻っていて、共存しているようにさえ見える。だからこの日のビクターが、終始怪物をアンリとして見ていることに違和感がなかった
15日…あれはアンリだった。優しい声だった。でも、基本のベースは怪物にあると感じた。ただ、あの声を聞いてしまったら、そりゃあビクターは絶対アンリを離さないだろうなとも思った
20日…あれは怪物だった。怪物の復讐は遂げられたと思った。吐血して死ぬ
24日…あれは完全にアンリだった。その前後の台詞は全て怪物のものなのに、ビクターと呼ぶ声だけアンリ。怪物の復讐は遂げられたと思った。吐血して笑顔で死ぬ
ラストシーン
16日…二人で挑んだ研究は成功していた！歓喜の笑顔。神に近付き禁忌を犯した二人はここで命を取られてしまうが、満足して逝く
DVD…此方に伸ばされた怪物の手。その姿がアンリと重なる。その手を取ろうとするも、取れないまま怪物は倒れる。あの日牢屋で手を取ってしまったことで、全ては変わってしまった。誰もいない虚空を見つめ、アンリの名を叫ぶ。でもそこには誰もいない。死がもうそこまで迫っているというのに、呪われ狂ってしまったビクターは気付かない。倒れた怪物の亡骸に近寄り、まだ温もりの残る手を取った。ほら、まだ温かい。新鮮な脳だ。今ならまだ間に合う。また生き返らせればいいんだ！そう、だって俺は、ビクター・フランケンシュタインなのだから…！
29日…アンリはそこにいたのだと気付き、研究の成功を知る。君夢の時に取れなかった手を、同じ形にして今度はしっかりと握り込む。二人で夢見た物語の終わり。至上の幸せの中で逝く
15日…そこにアンリがいる、と感じた瞬間に、世界の全てがアンリだけになる。失ったと思っていたアンリを再び手にできた喜び。もう絶対、二度と離さない。アンリの魂はここにいる。誰にも渡してなるものか。たとえそれが神であろうとも
20日…膝に頭を乗せ、誰にも見せない、渡さないというようにぎゅっと首を抱く。天に向かって指をクイクイして「こっちにこいよ。神」と挑発するように、神に挑戦状を叩きつける。今度こそ勝ってやるんだ。僕たち二人で
24日…怪物が倒れてすぐに「アンリ」と呼ぶ。地面に倒れ、空に拳を上げ、ドンと地面を叩き「アンリ！」と叫ぶ。アンリ、やったよ！とでも言うように。僕は神に勝っていたんだ。怪物の元まで這っていき、顔や身体に触れる。そして、君夢の時離してしまった手を取り、両手で掴む。此方を向いた目が、生命創造と同じもの。そうして神への勝利宣言。そう、俺は、フランケンシュタイン！
